水棲

午後、架空カンパニーあしもとの展示企画『水棲』を観に行く。会場は中野の水性。ちょうど1年くらい前に移住計画で出展をさせてもらった場所でもある。とてもいいところ。

パフォーマンスは45分間。棲んでいる人たちを見つめるだけなので長く感じるんじゃないかと思ったけど、思った以上にあっという間だった。パーカッショニストの方の音が全体にリズムをつくっていて、5人の出演者がひとつの音楽を奏でるバンドのようにも見えた。出演者は各々の行動をしていて、普通ならその行動に注目するところだけど(ジャグラーだし)、むしろその行動から発せられる音のほうを聞いているような、目は明いているのだが瞑っているような、不思議な感覚になる。ビーンバッグを叩く場面もあって、いままで自分はなんて音に無頓着だったんだ、と思った。人が動くことでなにかの音が生じるのって美しいのだ。

45分くらいのパフォーマンスのあと、自分もそこに「棲む」時間がある。棲みきれた感じはなかったけど、棲んでいる人にがんばって話しかけることはできた。道具のこと、音のこと、写真のこと、いろいろ考えた。たつるくんのように、ジャグリングを深めている、広げている人たちのおかげで、自分のジャグリングも広がる。本当にありがたいなと思う。

今日はとても天気がよくて、ダウンジャケットがいらなかった。いよいよ春だあ、という感じ。

春の心地のよい日になんでもないものを見る贅沢。なんでもないというのはいい意味。たつるくんと関矢くんと話していたら、10年くらい前に、北千住のスタジオで、focusのショーイングに参加していたあの時間を思い出した。全部なんでもなかったし、だからよかった。なんでもないもの、なんでもない光景の、圧倒的な美しさってある。


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