club and ring, handcrafted by Akira Miyano
PM Jugglingというプロジェクトでものづくりをしている板津です。ここでは僕が体験してきたジャグリングの良さや、そこから学んだことなどをつづっています。
先日、ジャグラーの山村佑理さんが運営する盛岡のジャグリング・ダンススタジオtasseに行ってきました。tasseは11月にストアを備えて本格オープン。それに合わせて、販売用の道具を共同開発でつくらせていただいたのです。
その製作の打ち合わせのなかで「使い古したときにかっこいい道具」っていいよね、という話になりました。山村さんいわく、あらゆるものに、なじんで、朽ちていく過程があるとすると、ジャグリング道具には朽ちるの部分がないですよね、と。まさに、と思いました。ジャグリング道具は衝撃を受け続けるためどうしても消耗品で、数十年使い続けることはむずかしい。使い続けて味が出てきたと思ったら、突然、壊れて終わりがきてしまいます。
では、朽ちることができる道具に必要な要素はなんでしょう。ひとつは、最初から朽ちるところまで想定した構造(素材、デザインなど)であること。そしてもうひとつは、修理、手直しができることかなと思います。最近ではジャグラーの宮野玲さんが紙から道具をつくっていますが(※写真)、これは画期的なことだと思います。なぜなら、道具として朽ちていく構造であり、さらに、宮野さん自身が修理し続けられるからです。同じように、ジャグラーの鈴木拓矢さんは、木製のリングや棒を手づくりし、それを使い続けています。そんな2人のジャグリングは、やっぱり、魅力的なのです。道具との歩みが、ジャグリングをより豊かにしていると感じます。
まずは身近なところから。普通の人の生活になじんで、願わくば一生、大切に使い続けられるジャグリング道具が増えるといいなと思います。使い込んだ自分だけのストーリーがある道具は、ジャグリングの楽しさをさらに広げてくれるはずです。
(第5回へ続く)
この原稿は書くジャグリングの雑誌:PONTEが発行するメルマガ『週刊PONTE』2018年vol.5(2018/12/10発行号)に掲載されたものです。