ジャグリングのはじまり

 お昼に渋谷でハチロウさんと会う。じっくり会うのは2年ぶりくらい。ハチロウさんと会うときはだいたいカレーを食べるのがセットになっていて、今日もスパイスカレーのお店で会った。

 食べ終わったら近くの公園をさがして、最近のボールや試作品を試してもらう。これも毎回おなじ流れ。ゆりだまやしずくも見てもらう。

 しずくはオブジェ的に置くのもおもしろいです、という話をすると、ハチロウさんはさっそく、その場の風景を活かして、いろんなところに置きはじめた。その様子を見ながら、なるほどなあ、と思った。僕は素材としておもしろそうなものはつくれるけど、それで自分がおもしろいジャグリングをすることはできない。しずくもまさにそういうものなのでちょっと困っていたのだけど、屋外なら、場の力を借りてもっといろいろできそうだ。そのことはなんとなく屋内で考えたりもしていたけど、実際に屋外の風景のなかで並べてみたものを見ると、全然違う。なんでもやってみないとわからない。

 しずくをオブジェのように風景になじませた場合、道行く人がどういう反応をするのか、どういう置き方であれば気にするのかを、実際にしずくを置いて、ちょっと離れて、ふたりで観察したりもした。人によっても違うし、場所や、時間帯によっても違いそうだった。「ゆりだま」は触っているうちに、勝手にジャグリングがはじまる(自然と投げてしまう)のがひとつのコンセプトだったけど、「道具を外に置く」ということも、ある意味ジャグリングのはじまりである、ということを考えた。

 ハチロウさんは空間のなかのちょっとした違和感にとても敏感だ。そのうえで、自らも、その場に絶妙な違和感をつくりだすことができる。ハチロウさんの作品の根底にあるものが見えたような気がして、うれしかった。

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