アルットゥが来た

 今日はアルットゥとスティナ、青木くん、ショーグンが仕事場に来ることになっていた。11:30に和光市駅まで来てもらう。間に合わなそうなのでママチャリで行ったはいいが、駐輪場がどこも満車で、仕方なくママチャリのまま登場する。アルットゥが「ワコウッチィ」とわこうっちのオブジェを指差しながらニコニコ挨拶してくれる。最初は和光の駅前にスーパージャグラーがいるのが不思議な感じだったけど、意外とすぐに、アルットゥくんが来ているんだ、という感覚になった。

 うどんかカレーか、で選んでもらったらカレー屋がいいみたいで、みんなで向かった。ダナパニという店で、数ヶ月前に、一度ひとりで入ったことがあった。こういうお店で食べたいものをしっかり出してくれる感じがありがたい。ヴィーガンの視点でお店を見たことなんてなかったので、今回のJJFでヴィーガンの3人と一緒にいられたのはいい経験になった。アルットゥが最後に、店長さんからポイントカードをもらっていた。

 仕事場の前に、家に立ち寄ってすこし案内、というか小休憩。ベイブレード、けん玉、コマ回しで遊んだり、コロコロコミックの話をしたり。思いのほかみんなが本気で遊びはじめて、ちょっとおもしろかったし、うれしかった。スティナが本気でコマ回しをしていた。

 仕事場に移動して、いろいろ見てもらう。ヨーヨーの本、初期につくっていたスティック、リングの試作や余った端材。一応実演もしてみようかと、余っていた板をつかって、リングづくりの工程も見てもらった。正直こんなもの、見てもらってもおもしろくないんじゃないか、なんならなぜこんなに時間のかかる手作業でやってるんだと口をあんぐり、ガッカリされるんじゃないかと思って不安げにスタートしたけど、意外と「ワオ!」とアルットゥもみんなも興味深く見てくれて、助かった。どんなサイズがいいかな? と聞いたら、一番小さいサイズがいいね、と明確な希望を言ってくれたので、パッとできそうな、外径21.6cm、内径15cmのものをつくることに。カットするところを軽く体験でやってもらおうとしたら、アルットゥは一生懸命やりはじめて、いったん僕がカットを進めたあとも、ふたたび、僕の足の使い方をトレースしてぐんと上達してカットをしていて、身体に関することはさすがだなあと思った。と同時に、自分以外の人がこの作業をしているのを見るのが初めてなので、なんか本当に、滑稽なくらいフィジカルな作業なんだなあ、ということを思った。

 アルットゥが最後まで仕上げて、リングがパカッと板からはずれると、わーっとなる。このちょっとした実演の時間に1枚のリングができるとは思っていなかったので、僕もうれしい。リングも、残った切れ端のほうも持って帰りたい、と言ってくれたので、ちょっと驚いたけど、もちろん、と答えた。するとすぐ、アルットゥが、持ち歩いていた1枚のリングを手にして、僕のほうに差し出した。どういうことかな? と思ったら、これを君にあげる、とのこと。えーっ! 10枚ちょっとしか持っていない大事なものなのに、大丈夫なの? と心配していると、大丈夫だよという。これは本当にびっくりした。よく考えれば、僕がつくったリングが僕の手元に帰ってきただけなのだけど、まったく別人のようになって、帰ってきた。表面が、人間の肌に近いというか、しっとりしている感じ。めちゃくちゃ使い込んでいるのがわかる。おそらく、これまで自分がつくった道具で、一番、使い込まれた状態のものだろう。いま持っているすべてのもののなかで、一番の宝物になる。青木くんが、ここにこういう風に飾ったらどうですか、というので、ああ、それはいいなと思った。

 そのあとも、ビーンバッグをつくるところを見てもらったり、PMリングが使われている映像を見たり、海外メーカーの話をしたり、青木くんとショーグンも楽しく話をしてくれて、いい時間だった。英語を話すのはなかなか難しいけど、大事な言いたいことは青木くんが通訳してくれたのですごく助かった。3回くらい話して、それなりに伝わったな、と感じるのが1回くらいなのだけど、だったら9回話せば3回は伝わることになるので、とりあえず多めにしゃべろう、と今日は自然と思えたのもよかった。話したい人に、話したい内容であれば、がんばれるのかもしれない。

 帰り際に家の玄関先で妻と挨拶してもらって、歩いて、駅に向かった。JJFで会って、徳島に行って、和光で会って、そうかあ、これでお別れかあ、と思う。本当に青木くんのおかげだけど、こんなにいい交流、なかなかできない。スウェーデンに来たら泊まってねとスティナが言ってくれた。あんまり現実感がないけど、隣にいたショーグンと青木くんの顔を見たら、意外とあるような気もちょっとした。

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