「ジャグリングのエッセイ」では、書くジャグリングの雑誌:PONTEの編集長でもあるスタッフの青木くんが、道具と人をテーマに綴っていきます。第二回は、EJCでお店を出したことについて書いてくれました。
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2017年の夏、友人2人と一緒に、ヨーロッパ最大のジャグリングコンベンションEJCで、僕が主催するジャグリング雑誌PONTEのお店を出した。EJCと言えば、世界最大の規模を誇るフェスティバルだ。まさか自分が店を出すことになるなど、それまでは思ってもみなかった。なんせ高校生の頃は、ジャグリングショップでドキュメンタリーDVDを見ながら「一生に一度、こんなところに行けたらいいな」と思っていたぐらいなのだ。
EJCでの出店は、結論から言うと、とても面白かった。そこでは「僕は世界から集まったジャグラーたちにものを売っているんだ」という実感があった。
2000人近くがいる会場で、ヨーロッパ中から、アメリカから、アジアから、はるばる集まってきたジャグラーたちが、ひやかしだろうとなんだろうと、代わる代わるブースに立ち寄ってくれる。
たとえば、ドイツにあるジャグリング道具の老舗、ヘンリース社の社長が雑誌を買ってくれたり、ジャグリングの歴史家の女性がアーカイブとして雑誌を引き取ってくれたり、有名なジャグラーがたくさん来てくれたり、普通に参加していただけではあまり話す機会がないような人たちとも出会える。また、ずっと定点にいるから、友人たちが暇を見ては遊びにきてくれるのも嬉しい。毎日飽きなかった。
お店が開くのは、だいたい昼から3、4時間のあいだである。その間はイベントにもあまり参加できないし、ずっと同じ場所にいないといけない。しかしかえって「やることが決まっている」というのは、僕にとって楽でもあった。EJCはなにしろ自由なイベントなので、まず1日が始まっても、いまいちやることが明確にわからないことが多い。だいたい、なんとなく練習場に行って、行き当たりばったりに会った人とご飯を食べたりする。もちろんそれはそれでEJCの醍醐味なのではあるが、「よーし、今日も売りますか」と店に入る、というルーティーンがあるのは、それでなかなかいいものなのだ。
イギリスで開かれる今年のEJCでは、PM JugglingとPONTEで一緒にお店を出して「よーし、今日も売りますか」をやる予定である。
具体的に、店を出すところを少し想像してみる。
うん、今年も、わくわくしてきたぞ。