トゥ・ルート・ディレクトリ

午前中は仕事場でPC作業。午後、シアタートラムにRoom Kidsの『トゥ・ルート・ディレクトリ』を観にいく。会場の外で、そして中で、ひさしぶりだったり、リアルでようやく初対面な人と会う。開演前、終演後の社交場みたいな雰囲気は苦手だけど、この時間はうれしかった。わーっと人がいないほうが好き。

いよいよ開演した。はじめは、思っていた以上にジャグリングだ! というか、めちゃくちゃジャグリングじゃないか、と思った。るきさんのジャグリングそのものだ。るきさんの歴史を見ているんだ、るきさんがどれだけまるごと出ているのか、感じられるのか。そういう作品として観ようとした。

徐々に、具体(扇風機など)と抽象(ボールやリング)を往復し、混ざり合い、すべてがルートディレクトリに還っていく過程が描き出されていく。僕の頭のなかでだけど、これがもうひとつの軸だと思った。この軸と、るきさんの歴史がどう絡み合っているのか。ノスタルジーとテクノロジー、というこれまでるきさんが話していた事にもつながっているようにも思う。でもはっきりとはわからない。

最後のシーンは、僕は死を連想してしまった。本当はここでスッとする、整理されたすっきりした気持ちになるはずだったのかもしれない。でも僕はちょっと怖かった。僕は死を考えるのが悲しいけど、るきさんはそうじゃなさそうというか、もっと力強く考えているというか、考えられる人なんだろうなという気がした。でもこれは本当に勝手な思い込みだと思う。

帰りの電車のなかでも公演を振り返った。人とものとの関係性は、結局は自分自身との対話なのかもしれない。それがノスタルジーとテクノロジーをつなぐものなんじゃないか。でもたぶんるきさんはそういうことが言いたいんじゃなくて、「何か」があるということを表現したいんだろうな、とも思う。それが具体と抽象の元にあるアカシックレコードの話とか、今回のトゥ・ルート・ディレクトリなのかなと。その「何か」がなんなのかはわからなかった気がするけど、その何かを今日、観たような気もする。うまく言葉にできないものだからこそ、舞台でそれそのもの、そのまんまを観る意味があるのかもしれない。



会場にはドクターとしてまさやんさんが常駐していた。今回、いろんなジャグラーががっちり協力していたのも印象的だった。ジャグラーが外に出ていく人をしっかり応援するって、なんかいい景色だなあと思った。るきさんはそうやって人が集まってくるキャラクターが本当に魅力的。ガンディーニみたいだな思う。

そしてまあやっぱり、ボールを使っていただけたのもすごくうれしかった。道具にとっても晴れ舞台、自分の手元からでていったものなので、やっぱり会場ではどきどきする。邪魔にならないよう、そして魅力を引き出せるよう願う。一回のドロップが、作品の印象を変えてしまう。それがないよう、ほとんどおまじないのような違いでも、いろいろ微調整してつくっている。一瞬、あ、これは落ちるぞ、という瞬間があったのだけど、キュッと引っかかり、ふんばった。よーし、とちょっと大きめにうなずいてしまった。なんとか役目を果たせたな、と思った。僕はジャグリングが上手くないし、人前には立てない。それなのにこういう気持ちにさせてもらえるのは、本当に幸せというか、ありがたいことだなと思う。

またるきさん関矢くんとゆっくり話ができたらうれしい。本当におつかれさまでした。


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